浮島は、熊本県上益城郡嘉島町井寺に位置し、夫婦神の浮島神社(浮島さん)の池として知られています。湧水によって形成されたこの池は、清らかな水と豊かな自然に囲まれ、地域住民だけでなく、観光客にも愛されるスポットです。2010年には農林水産省の「ため池百選」に選定されており、熊本県内でも有数の美しい景観を誇ります。
浮島は、湧水によって形成された池で、2010年3月25日に農林水産省の「ため池百選」に選ばれました。嘉島町は、一級河川である緑川水系支流に囲まれ、阿蘇山からの伏流水が町内各地で湧出しています。こうした豊かな水資源に恵まれた地域であることから、1996年には国土交通省による「水の郷百選」にも選定され、「清水湧き心ふれあう嘉島町」として全国に名を広めました。
さらに、嘉島町内にある六嘉湧水群・浮島は、環境省によって「平成の名水百選」にも選定されています。この地域は、阿蘇山の伏流水が豊富で、美しい水質と湧水の恵みに支えられています。
浮島の中心には「夫婦神の浮島神社」が鎮座しており、古くから地域住民の信仰を集めています。この神社の境内地に広がる池は、湧水で満たされており、「神の池」とも呼ばれています。神社の由来によれば、1001年(長保3年)に湧水を利用して2.5ヘクタールの池が築造されたと伝えられており、現在もこの池は地域の灌漑を支える重要な役割を果たしています。
浮島神社の背後には、飯田山や阿蘇山の外輪山がそびえ立ち、神社の池と美しい自然景観が一体となった風景は、多くの人々を魅了します。この景観は、写真家や観光客にとっても絶好の撮影スポットであり、また地域住民にとっても日常の憩いの場として親しまれています。
浮島の周辺地域である六嘉地区は、湧水が豊富な地域としても知られています。この地域は、「砥川溶岩」を基盤とする帯水層を持ち、表土には阿蘇火砕流の堆積物や有明粘土層が広がっています。これにより、地表近くで湧水が容易に見られる環境が形成されており、「平成の名水百選」にも選定されています。
六嘉湧水群では、各所に設けられた洗い場で住民が水を利用しており、交流の場ともなっています。また、湧水を活用した「嘉島湧水天然プール」は全国的にも珍しく、夏には多くの訪問者が清涼感を求めて訪れます。
浮島神社の周囲は、浮島周辺水辺公園として整備されており、自然の美しさが際立ちます。園内には、チガヤやヨシ、セキショウといった植物が茂り、水面にはカイツブリやカワセミ、冬にはカモが飛来し、越冬地となっています。このような豊かな生態系は、地域住民や訪問者にとって自然と触れ合う貴重な場所となっています。
地域のボランティアグループによる毎日のゴミ拾い活動や、定期的な除草作業が行われており、住民は高い環境保全意識を持っています。この取り組みのおかげで、浮島の美しい景観と湧水が守られており、訪れる人々に自然の豊かさを感じさせる場所となっています。
九州自動車道の御船インターチェンジから熊本県道226号線を経由して約8分(3.6km)で到着します。
熊本市内の桜町バスターミナルから、熊本バスに乗車し「下六嘉」バス停で下車。バス停から徒歩約9分(720m)で浮島に到着します。
浮島は、その美しい湧水と豊かな自然に囲まれた熊本県嘉島町の貴重な観光スポットです。古代から地域住民の信仰を集める浮島神社や、平成の名水百選にも選定された六嘉湧水群は、訪れる人々に心の安らぎと自然の美しさを提供しています。観光や撮影スポットとしても人気が高く、また地域住民の努力による環境保全活動が行われているこの場所は、自然と共存しながら楽しめる場所として、訪れる価値があります。