玉名温泉は、熊本県玉名市(旧肥後国)に位置する歴史ある温泉です。かつては「立願寺温泉」とも呼ばれ、炭鉱で栄えた福岡県大牟田市からの近さから「三井の奥座敷」として賑わいました。しかし、現在ではその栄華も衰退し、温泉旅館の数はかつての半数以下となっています。
玉名温泉は約1300年前に開湯したとされ、長い歴史を持つ温泉地です。この地域の温泉は「美人の湯」として知られており、肌に優しい泉質が特徴です。
玉名温泉の泉質は弱アルカリ性の単純温泉で、源泉の温度は40〜45℃です。特にラジウムを多く含むことで知られており、入浴することで血行が促進され、美肌効果が期待できると言われています。
玉名温泉の温泉街は、繁根木川沿いに11軒の旅館・ホテルと5つの日帰り温泉施設が立ち並んでいます。温泉街では、宿泊者や日帰り利用者向けに「湯巡りチケット」が発行され、複数の温泉を楽しむことができます。また、立願寺公園内には「しらさぎの足湯」があり、2004年4月に誰でも無料で利用できる足湯としてオープンしました。
玉名温泉には、市営の公衆浴場「玉の湯」があります。この施設は1992年に改築され、日帰り温泉施設として親しまれています。地域住民や観光客にとっても気軽に利用できる温泉です。
現在、玉名温泉には11軒の旅館が営業しています。これらの旅館は、それぞれに異なる魅力を持ち、訪れる人々に心地よい癒しの時間を提供しています。
玉名温泉には、約1300年前に開湯されたという伝説が伝わっています。炭焼きの仕事をしていた疋野小五郎がこの温泉を発見したとされています。ある満月の夜、都の姫君が観音菩薩から「肥後の国玉杵名の疋野の里にいる炭焼き小五郎を夫にしなさい」というお告げを受け、小五郎の元を訪ねます。しかし、小五郎は貧しく「米の貯えすらない」と断ります。姫はお金を渡して米を買いに行かせますが、小五郎はその途中で白鷺に出会い、お金の価値を知らなかったため、白鷺に投げつけてしまいます。怪我をした白鷺が温泉の湯煙の上がる田んぼに降り立ち、しばらくして元気に飛び去りました。小五郎がその場所を探ってみると、温泉が湧き出たという伝説が伝わっています。
この伝説は、現在も温泉地内の神社に祀られている疋野小五郎を通じて語り継がれています。
玉名温泉へのアクセスは、JR鹿児島本線玉名駅から産交バスを利用するのが便利です。「玉名温泉足湯前」または「玉名温泉玉の湯前」で下車することができます。また、九州新幹線の新玉名駅からも産交バスが運行されており、玉名温泉北入口で下車可能です。ただし、「玉名温泉足湯前」を通るバスの本数は少ないため、事前に確認が必要です。
自家用車で訪れる場合は、九州自動車道の菊水インターチェンジから約10㎞の距離に位置しています。周辺には駐車場も整備されているため、車でのアクセスも快適です。
玉名温泉は、歴史と伝説に彩られた温泉地であり、温泉街や足湯、旅館でのゆったりとした時間が楽しめます。美肌効果が期待できる「美人の湯」としても人気があり、訪れる人々に癒しを提供しています。アクセスも良好で、熊本県を訪れる際にはぜひ立ち寄りたい温泉地です。