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塚原古墳群(熊本市)

(つかわら こふんぐん)

塚原古墳群は、熊本県熊本市南区城南町塚原に位置する歴史的な古墳群です。九州自動車道の建設工事中に発見され、その保存を目的として「高速道路の真下を通過している」という非常に珍しい特徴を持っています。

古墳群の概要

塚原古墳群は熊本県で最大規模を誇り、日本全国でも有数の大きさを持つ古墳群です。その築造は4世紀から6世紀にかけて行われたとされ、江戸時代の『肥後国誌』や『古今肥後見聞雑記』にも記録が残っています。1972年の九州自動車道建設に伴い発掘調査が開始され、円墳、方形周溝墓、前方後円墳など多数の古墳が発見されました。

1976年には国の史跡として指定され、その後「塚原古墳公園」として整備され、現在では多くの出土品や資料が公園内の歴史民俗博物館で展示されています。現在までに九州自動車道の用地上で発見された古墳には、方形周溝墓39基、円墳・小円墳34基、前方後円墳1基、石棺18基などが含まれています。

九州道外にも広がる古墳群

塚原古墳群は、九州自動車道の用地外にも広がっていると考えられており、1975年の試掘調査では、塚原台地全体に古墳が分布し、さらに同地域に集落が営まれていたことが確認されました。現在までに調査が行われた古墳は203基にのぼり、未調査のものを含めると、500基近くの古墳がこの地域に存在すると推測されています。

2016年の熊本地震による影響

2016年の熊本地震では、墳丘内にあった家形石棺が破損したり、案内板が落下するなどの被害が生じました。しかし、その後も修復と保全活動が続けられ、歴史的価値が守られています。

塚原古墳公園

塚原古墳公園は、塚原古墳群を擁する広大な公園です。園内には77基の復元された古墳があり、それらの周囲にはサクラ、アジサイ、コスモスなど四季折々の花が植えられています。また、遊具も設置されており、地域住民や観光客に親しまれています。

主要な施設

熊本市塚原歴史民俗資料館

塚原古墳公園内に位置する熊本市塚原歴史民俗資料館は、1974年に文化庁、熊本県、当時の城南町、日本道路公団の協定により建設が決定され、1983年に「城南町歴史民俗資料館」として開館しました。その後、2010年に城南町が熊本市と合併した際に、現在の名称に改称されました。

館内には、考古・歴史・資料の3つの展示室が設置されており、塚原古墳群に関する展示をはじめ、旧城南町に関する出土品や民俗資料などが展示されています。地域の歴史や文化を発信する拠点として、地元住民や観光客に広く親しまれています。

塚原トンネル

塚原トンネルは、1972年の九州自動車道建設時に塚原古墳群が発見されたことから、文化財の保護を目的に「古墳の下にトンネルを掘る」という日本初の方法で建設されたトンネルです。当初の計画では山を切り開いて道路を建設する予定でしたが、保存運動が行われた結果、道路はトンネルとして古墳の下を通過する形になりました。

トンネルの長さは340mで、「塚原」(つかわら)と読む地名に対して、トンネルの案内板には「Tsukahara Tunnel」(つかはらトンネル)と表記されており、読み方が異なる点が特徴です。トンネル建設には当初の計画よりも2年遅れ、建設費も26億円増加しましたが、文化財の保護と公共事業の両立が実現しました。

特徴的なトンネルの構造

古墳保存のため、トンネルは地面すれすれの位置にあるため、天井板のない四角形の断面が採用されており、これが他のトンネルとは異なる特徴となっています。また、九州道の八代ジャンクション以南では山間部を通過するため、肥後トンネルなど多くのトンネルが連続していますが、塚原トンネルは平地部にあるため、九州道北部区間における特徴的な構造物の一つです。

利用情報

塚原古墳群や塚原古墳公園は自由に見学することが可能です。以下は熊本市塚原歴史民俗資料館の利用情報です。

所在地

熊本市南区城南町塚原1924

入館料

一般: 200円
小中学生: 100円

開館時間

9時00分 〜 16時30分

休館日

毎週月曜日(祝日の場合は開館し、直後の平日が休館)
年末年始(12月29日〜1月3日)

交通アクセス

桜町バスターミナルから熊本バス城南経由の志導寺ゆき・下安見ゆき・段鶴ゆきに乗車し、「塚原」下車、徒歩8分(約600m)
または城南経由松橋駅行きに乗車し「公会堂前」下車、徒歩20分(約1.7km)
JR九州鹿児島本線宇土駅から車で約15分

駐車場

駐車場あり

Information

名称
塚原古墳群(熊本市)
(つかわら こふんぐん)

熊本市・山鹿・菊池

熊本県