熊本県立美術館は、熊本県熊本市中央区にある県立の美術館で、熊本城の二の丸公園内に位置しています。この美術館は、地元熊本の文化や芸術を保存・展示し、国内外の美術品も多く所蔵しています。さらに、文化教育の普及活動も盛んに行われ、訪れる人々に美術と触れ合う機会を提供しています。
本館には、企画展示室や装飾古墳室、常設展示室、浜田知明室があり、また細川コレクション永青文庫展示室も別棟として設けられています。中2階にはロビーと喫茶店があり、2階には常設展示室が広がっています。訪れる人々は、美術鑑賞の後にリラックスできる空間も充実しています。
分館には、1階から4階にわたって展示室が配置されており、ギャラリーや喫茶店も併設されています。特徴的な屋根上からは、熊本城や市街地の景観を楽しむことができ、訪れた人々に特別な体験を提供しています。
熊本県立美術館は、地元ゆかりの美術品に加え、西洋美術の優れたコレクションも所蔵しています。その中でも、幼少期を熊本で過ごした藤田嗣治(レオナール=ツグハル・フジタ)の作品が中心となっています。また、ルノワールの『胸に花を飾る少女』やロダンの『接吻』など、世界的に知られる作品も展示されています。
日本美術のコレクションには、熊本藩時代の文化を継承した矢野派や狩野派に属する絵画や書画が含まれています。また、熊本県ゆかりの焼物や近代絵画、彫刻も展示されており、これらの美術品を通じて熊本の伝統的な芸術文化を感じることができます。
熊本県は、熊本藩主細川家に伝わる文化財を保存・公開する財団法人永青文庫と協定を結び、「細川コレクション 永青文庫展示室」を設置しています。この展示室では、永青文庫所蔵の貴重な美術品が定期的に入れ替えられながら展示され、来館者は常に新たな発見ができます。2012年には、展示室が改修され、さらに充実した内容で公開されています。
熊本県立美術館には、今西菊松による『今西コレクション』も展示されています。今西菊松は、NHK熊本放送局で勤務しながら、絵画、版画、工芸品など多岐にわたる美術品を蒐集した人物です。このコレクションには、肉筆浮世絵や漆芸家、現代工芸作家の作品が多数含まれています。今西の遺族から寄贈された作品は、現在美術館で440点以上が所蔵されており、その価値は高く評価されています。
本館は、熊本城二の丸公園の敷地内にあり、前川國男によって設計されました。館内には、熊本出身の版画家である浜田知明の作品を展示する「浜田知明室」があり、また熊本県内に点在する装飾古墳の模型を展示する「装飾古墳室」も設置されています。これらの展示により、熊本の歴史や文化をより深く学ぶことができます。
さらに、絵画の実技講座や鑑賞会、親子で参加できるワークショップも定期的に開催され、美術教育の普及にも力を入れています。本館には約3,300点の美術品が所蔵されており、その豊富なコレクションは多くの来館者に親しまれています。
熊本県立美術館は、その独特な建築デザインでも高く評価されています。2006年には日本建築家協会25年賞を受賞し、2017年にはDOCOMOMO JAPANによって「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されました。このような評価は、美術館が単なる展示施設に留まらず、建築的にも重要な文化財であることを示しています。
熊本県立美術館の分館(英: Kumamoto Prefectural Museum of Art Chibajo Branch)は、熊本城本丸東側の千葉城町に位置し、地上4階、地下1階建ての建物です。この分館は、旧熊本県立図書館を大幅に改築したもので、スペインの建築家による設計が採用され、天草の自然石を使用して熊本城の石垣と調和した外観が特徴です。1992年10月に開館し、以来多くの来館者に利用されています。
熊本県立美術館本館へのアクセスは、熊本城周遊バス「しろめぐりん」が便利です。バス停から美術館までは徒歩約200mです。また、熊本市電B系統を利用し、蔚山町電停から徒歩約700mで到着できます。
分館へのアクセスも、熊本城周遊バス「しろめぐりん」を利用することができます。分館前にバス停があり、徒歩すぐの場所に位置しています。また、熊本市電A系統・B系統の「熊本城・市役所前電停」から徒歩約500mの距離にあります。
熊本県立美術館は、地元の芸術文化を体感できる貴重な場所であり、幅広い展示内容とアクセスの良さから、多くの人々に親しまれています。特に、熊本城との歴史的な調和や美術教育活動に力を入れている点は、他の美術館とは一線を画す魅力です。