熊本国際民藝館は、熊本市北区龍田に位置する民芸品の収蔵展示を行う博物館です。1965年5月に開館し、初代館長の外村吉之介が日本全国および世界各国から収集した陶磁器、ガラス、玩具、染織品、木工品など、生活の中から生まれた美しい民芸品が展示されています。
この博物館の建物は、岡山県から移築された古い酒造蔵を使用しており、白壁に黒い屋根の土蔵造りという伝統的な日本の建築様式が特徴です。館内には陶磁器や竹かごなどの実用品が展示されており、民衆の手によって作られ、使われてきた民芸品の簡素で健康的な美しさを堪能することができます。展示品は熊本のみならず、世界各国から集められたものも多く、さまざまな文化を体感することができる場所です。
世界各地から集められた粘土、紙、草木、布、ブリキなどで作られた郷土玩具が展示されています。これらは信仰や年中行事に結びつくものもあり、日本の宇土張り子やキジ車なども展示されています。日本国内の玩具208点、外国の玩具267点、さらに絵馬や凧など135点を所蔵しています。
陶器や磁器は、日本の伝統的な工芸技術を反映した作品が数多く展示されています。陶器は粘土を、磁器は陶石を原料とし、高温で焼成されたものです。茶碗、湯のみ、花瓶、皿、鉢など、日常生活で使用される器物が658点の陶器と101点の磁器として展示されています。
絹、木綿、麻、毛、草木などの天然素材で作られた布製品が展示されています。これらは、糸を染めて織ったものや、布に天然染料で色や模様を染めたものが中心です。沖縄の染織品からアイヌの衣服、外国の絨毯まで、多岐にわたる294点の織物と137点の染物が揃っています。
竹やかずら、草などの植物を使って編み組まれたかごや生活道具が展示されています。農業や漁業、日常生活で使われてきたざるや手つき篭、鳥籠など117点が所蔵されています。
天然木を材料に作られた木工品が数多く展示されています。小箱やお盆、椅子、家具まで、多種多様な日用品や家具が揃い、茶托、お椀、漆器類など356点が展示されています。
明治時代に生活用品として作られたガラス製品も展示されています。石油ランプや薬瓶、牛乳瓶など、職人の息で吹いて作られたガラス製品が展示され、皿や小鉢、酒瓶、ワイングラスなど113点が所蔵されています。
金属を素材に、熟練の職人技で作られた金工品も展示されています。日常用品から農機具、建築具まで、包丁、鎌、鉈、鉄瓶など47点が展示されています。
初代館長である外村吉之介の書や、芹沢銈介の型絵染の掛軸、バーナード・リーチの絵、絵絣の掛軸なども展示されています。これらの作品は、民藝運動に深い関わりのある芸術家たちの作品であり、訪れる人々に日本の伝統工芸の美しさを伝えます。
熊本国際民藝館には、7つの展示室があり、それぞれ異なるテーマで展示が行われています。
メインの展示室では、定期的に企画展が行われ、季節や民藝に関わる社会状況を考慮したテーマを取り上げています。年3回の企画展が開催され、訪れる度に新しい発見があります。
編組品や織機が展示され、機織り体験も行われています。囲炉裏のある和室が人気で、昔ながらの日本の生活文化に触れることができます。
陶磁器の展示が中心で、特に小代焼などの作品が紹介されています。これらの陶磁器は、実用的でありながら美しいデザインが魅力です。
ガラス工芸品の展示室です。明治時代から作られたガラス製品が展示されており、職人技が光る繊細な作品が揃っています。
全国から集められた陶磁器や木工品が展示されています。各地の伝統工芸の違いや美しさを比較しながら楽しむことができます。
柳宗悦全集や民藝誌のバックナンバーが保管されており、民藝運動に関する貴重な資料を閲覧できます。
世界中から集められた玩具が展示されています。伝統的な郷土玩具から、現代に至るまでの玩具文化を知ることができる貴重な展示です。
ミュージアムショップでは、企画展に関連するグッズや、肥後まりのアクセサリー、全国の陶磁器などを販売しています。展示品と関連した商品を購入できるため、訪問の記念におすすめです。
熊本国際民藝館は、熊本市北区龍田1丁目5-2に位置しています。熊本県道337号熊本菊陽線沿いにあり、交通の便も良好です。
産交バスや熊本電鉄バスの「三の宮」バス停から徒歩約3分の距離にあります。また、九州自動車道の熊本インターから車で約15分ほどでアクセスできます。