健軍神社は、熊本県熊本市東区に位置する由緒ある神社です。この神社は、阿蘇神社(阿蘇市)、甲佐神社(甲佐町)、郡浦神社(宇城市)と共に「阿蘇四社」と呼ばれています。
熊本市で最も古い神社の一つとされ、かつては「たけみや」と呼ばれていましたが、後に「けんぐん」と読まれるようになりました。健軍神社は、阿蘇四社の一つであり、電車通りにある大鳥居から神社まで続く「八丁馬場(はっちょうばば)」という約1,200メートルの長い参道が特徴です。この参道には、加藤清正が植えたと伝えられる杉並木の一部が今でも残っています。また、明治10年2月22日には、西南戦争において薩軍を支援するため結成された熊本隊が挙兵した場所でもあります。
健軍神社には、多くの神々が祀られています。その主な祭神は以下の通りです。
主祭神である健軍大神と健磐龍命は、阿蘇神社でも祀られている神々であり、地域の守護神として広く信仰されています。
阿蘇津姫命は、阿蘇の女神とされており、阿蘇の自然と結びついた豊穣の象徴です。また、神渟名川耳命(綏靖天皇)は、日本の古代天皇の一人であり、国の平和と安定を守護する存在とされています。
国造速瓶玉命は、地域の開拓や発展を象徴する神であり、その功績により地域の守護神として崇敬されています。
その他にも、草部吉見神、比咩御子神、彦御子神、若比咩神、新彦神、新比売神、若比古神、彌比咩神など、地域の自然や人々の生活を守る多くの神々が祀られています。
健軍神社は、熊本市内で最も古い神社とされ、その創建は欽明天皇19年(558年)に遡ります。社伝によれば、阿蘇神社の大宮司が阿蘇神社から分霊を勧請し、異賊征伐のために「健軍」と名付けられたと伝えられています。その後、健軍神社は阿蘇四社の一つに数えられ、阿蘇神社の別宮としての役割も果たしてきました。
当初、この神社は「健軍宮(たけみやぐう)」や「健軍村竹宮(たけみや)」と呼ばれていました。また、「十二社大明神」とも称され、地域の広範囲にわたる「健軍荘(たけみやしょう)」(現在の日赤病院周辺、小峯、新外、江津湖周辺)における産土神社として信仰を集めてきました。
明治6年(1873年)に郷社に列し、その後、昭和の時代以降に「たけみや」が「けんぐん」と音読されるようになりました。この結果、地域名も託麻郡健軍村から熊本市健軍町へと変わり、地域の象徴的な神社としての地位を確立しました。
健軍神社の境内には、多くの摂末社があり、それぞれに地域の守護神としての役割を果たしています。
雨宮神社は、雨宮大神を祀る神社で、雨や天候を司る神として信仰されています。
美和神社には、大物主大神、三穂津姫命、事代主命、猿田彦大神が祀られています。これらの神々は、農業の豊穣や商売繁盛、道案内などを象徴する存在として広く信仰されています。
国造神社には、速瓶玉命が祀られており、地域の守護神としての役割を果たしています。
日吉神社は、大山咋命と若山咋命を祀る神社で、山や自然を守る神として信仰されています。
天社神社には、道君首名公が祀られ、「おぶとさん」の愛称で親しまれています。この神社は、地域の守護や人々の生活の安全を守る存在として信仰されています。
矢城神社は、矢城山の山神、稲荷大明神、青龍龍神を祀る神社で、農業の守護や商売繁盛を願う人々に信仰されています。
健軍神社には、歴史的価値のある文化財が数多く存在しています。その一部をご紹介します。
肥後神楽は、昭和35年4月22日に無形民俗文化財として熊本県に指定されており、地域の伝統的な舞踊と神事を通じて神々に感謝と祈りを捧げる行事として重要な役割を果たしています。
杉馬場は、昭和43年8月13日に熊本市の史跡に指定されており、加藤清正が植えたと伝えられる杉並木が今でも残っています。
健軍神社の境内は、昭和47年12月13日に熊本市の史跡に指定され、地域の歴史と文化を伝える重要な場所として保存されています。
健軍神社へのアクセス方法についてご案内します。
健軍神社へは、熊本都市バス 健軍神社前停留所で下車するとすぐ到着します。また、九州産交バス、熊本バス、熊本都市バスおよび東バイパスライナー(九州産交バス、熊本バス、熊本都市バスの共同運行)を利用し、神水町停留所で下車後、健軍神社参道・杉馬場を東へ約700メートル進むことで到着します。その他、周辺には九州産交バスや熊本バスの路線が多数あります。
鉄道をご利用の場合、JR熊本駅、上熊本駅、新水前寺駅から熊本市電に乗車し、健軍校前電停または動植物園入口電停で下車し北へ約600メートル進むと到着します。また、八丁馬場電停で下車し、健軍神社参道・杉馬場を東へ約1キロメートル進むことでもアクセス可能です。神水交差点電停で下車後、国道57号東バイパスを北へ約100メートル、健軍神社参道・杉馬場を東へ約700メートル進むルートもあります。
健軍神社は、熊本市で最も古く、地域の歴史と信仰を今に伝える重要な神社です。その由緒正しい歴史や豊富な祭神、文化財、そして壮大な参道は、訪れる人々に深い感動を与えます。阿蘇四社の一つとして、健軍神社は熊本の人々にとって欠かせない存在であり、訪れる際には、その歴史や伝統を感じながら参拝することをお勧めします。