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成道寺

(じょうどうじ)

成道寺は、熊本県熊本市西区花園に位置する臨済宗南禅寺派の寺院です。山々に囲まれた静寂な場所にあり、自然の中で心を落ち着ける場所として広く知られています。応永33年(1426年)に創建され、その日が釈迦成道の日(12月8日)であったことから「成道寺」と名付けられました。

成道寺の歴史と背景

成道寺は、臨済宗南禅寺派に属し、肥後国の菊池正観寺のかん中元志(かんちゅうげんし)和尚によって開かれた修禅道場として始まりました。寺の創建に際しては、菊池氏19代菊池持朝が寺領を寄進し、その後加藤清正や熊本藩の細川氏からも支援を受けました。寺の周囲には、豊かな自然が広がり、特に庭園の美しさは訪れる人々を魅了します。

成道寺の庭園と風景

成道寺の庭園は、自然山水が美しく調和した優れた設計で、泉石の閑寂さが際立っています。春には新緑が美しく、秋には紅葉が見事な風景を提供します。また、境内にはモミジや桜の古木、竹林が広がり、池に注ぐ清水の音が静寂をさらに引き立てています。夏目漱石もこの寺を訪れ、「若葉して 手のひらほどの 山の寺」という句を詠んでいます。

沢村大学の逆修碑

成道寺の裏山には沢村家の墓所があり、初代から第十三代までの五輪塔が並んでいます。初代の沢村大学吉重(1560年 - 1650年)は、若狭の国に生まれ、丹後城主・細川忠興の家臣として多くの戦功を挙げました。彼は、戦場で倒した相手の供養として逆修碑を建て、敬慕哀悼の意を表しました。この碑は、彼が敵の法名を刻むことで、敵味方ともに浄土の彼岸へ至ろうと願ったものです。また、彼は78歳で島原の乱に参加し、若い将兵を鼓舞する勇姿を見せました。

成道寺に建つ他の碑

成道寺には、沢村大学の逆修碑のほかにも、豪族・久布白対馬守の墓や江戸時代の高僧・豪潮律師の宝篋印塔、徳富蘇峰の詩碑、稲畑汀子の句碑などが建てられています。また、享禄三年に刻まれた地蔵坐像線刻板碑もあり、成道寺は多くの歴史的な文化財が残る場所です。

夏目漱石と成道寺

成道寺は、文人や画家にも愛された場所であり、その美しい景観と静寂が多くの人々に感銘を与えてきました。夏目漱石もこの寺を訪れ、「若葉して 手のひらほどの 山の寺」という句を詠みました。この句は、成道寺の静寂な雰囲気と自然の美しさを表現したものとして知られています。

季節ごとの景観と利用状況

成道寺は、3000坪の広大な境内を持ち、四季折々の美しい風景が広がります。特に夏は、成道寺周辺の気温が熊本市内よりも5度低く、避暑地として最適です。夏にはソーメン流しやマス釣りが楽しめ、秋には百本を超えるモミジが色づく紅葉の名所として多くの観光客が訪れます。寺の静寂さと自然の調和が、訪れる人々の心を癒します。

成道寺へのアクセス

交通情報

成道寺へのアクセスは、JR鹿児島本線の上熊本駅からタクシーを利用するのが便利です。成道寺は市内からも比較的アクセスしやすい場所にあり、観光客にとっても訪れやすい立地です。境内には30台の駐車場があり、無料で利用できます。

参拝時間

成道寺の参拝時間は、9時から17時までです。豊かな自然の中で静かなひとときを過ごすには、朝の早い時間や夕方の時間帯がおすすめです。

周辺スポット

成道寺の近くには、柿原養鱒場があり、その奥には「お手水」と呼ばれる湧水があります。また、成道寺のすぐ近くには国民休養林小萩園が広がり、木々に覆われた静寂な雰囲気の中で自然を満喫することができます。寺の周辺は、熊本の自然と歴史を感じられる絶好の観光スポットとなっています。

まとめ

成道寺は、熊本市西区に位置する臨済宗南禅寺派の歴史ある寺院で、自然の中で静寂を感じられる場所として多くの人々に愛されています。庭園の美しさや歴史的な碑、そして夏目漱石が詠んだ句など、成道寺は自然と文化の融合した魅力的なスポットです。熊本を訪れる際には、成道寺の静かな環境の中で、心を落ち着けるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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名称
成道寺
(じょうどうじ)

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