湯の児温泉は、熊本県水俣市に位置し、海に面した温泉地として知られています。同じ水俣市内にある湯の鶴温泉が山の温泉であるのに対し、湯の児温泉は「海の温泉」として親しまれています。温泉街には数多くの旅館やホテルが立ち並び、八代海を望む美しい風景を楽しむことができます。
湯の児温泉の泉質は「含食塩重曹泉」となっており、身体を温める効果が高く、特に疲労回復や神経痛、関節痛に良いとされています。また、肌をなめらかにする美容効果もあると言われています。温泉地を訪れる多くの人々がその泉質に魅了されています。
湯の児温泉の魅力の一つとして、温泉街の近くに位置する「湯の児海水浴場」が挙げられます。夏の時期には、多くの海水浴客が訪れ、温泉と海水浴を同時に楽しむことができます。温泉の後、さわやかな海風に包まれながら過ごす時間は、特別なリラクゼーション体験となるでしょう。
湯の児温泉のもう一つの見所は、「湯の児チェリーライン」です。この道路は、温泉街から約5kmにわたり、桜並木が続く美しい海岸線沿いの道です。毎年春になると、満開の桜が訪れる観光客を出迎えます。桜のトンネルのように咲き誇る風景は、息をのむ美しさで、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。
湯の児温泉の周辺には、果樹園が点在しており、特に福田農園が有名です。訪れる観光客は、温泉だけでなく、季節の果物狩りを楽しむことができ、果樹園ならではの新鮮なフルーツを堪能することができます。果物狩りを楽しみながら、湯の児温泉の美しい自然を満喫することができるのも、このエリアの大きな魅力の一つです。
湯の児温泉には、さまざまなホテルや旅館があり、観光客に快適な宿泊を提供しています。主な宿泊施設には以下のものが挙げられます。
八代海に沈む美しい夕日を眺めながら、ゆったりとしたひとときを過ごすことができる宿泊施設です。絶景を楽しみながら、温泉に浸かることができます。
昇陽館は、海の眺望が自慢の旅館で、温泉と共に地元の新鮮な海の幸を堪能できる宿です。
こちらの旅館は、地元で獲れる新鮮な魚料理が自慢の宿です。タチウオを中心とした魚料理が人気で、多くの宿泊客がその味を求めて訪れます。
湯の児温泉は、古くからその温泉が湧き出ていたとされ、景行天皇が熊襲征討の際に発見したと伝えられています。この温泉は、湯の温度がぬるかったため、「湯の子供」という意味で「湯の児」と名付けられました。本格的な開発が始まったのは1925年(大正14年)で、ボーリングの成功により豊富な湯量を得て、温泉街としての規模が大きくなりました。
1987年1月、新日本プロレスのレスラーが九州巡業中に湯の児温泉に宿泊し、宴会中に酒の影響でレスラー同士の乱闘が起こったとされています。この事件は「旅館破壊事件」として話題となり、当時の旅館はこの出来事をきっかけに一時的に困難に直面しました。なお、その後も旅館は20年近く営業を続け、最終的には老朽化などを理由に廃業しました。
湯の児温泉へは、肥薩おれんじ鉄道線の水俣駅から「みなくるバス(青色)」に乗り換え、「湯の児」停留所で下車すると到着します。
車で訪れる場合は、南九州自動車道の水俣インターチェンジから5.8kmの距離にあります。湯の児温泉には駐車場も完備されており、車でのアクセスも便利です。