水島は、熊本県八代市の球磨川(くまがわ)河口に位置する無人島です。美しい自然と歴史的な背景を持つこの島は、地域の人々に愛され、国の名勝としても知られています。
水島は、八代市の植柳下町と水島町に位置しており、球磨川の河口近くの堤防に隣接しています。この無人島は、小さな島で、干潮時には歩いて渡ることが可能です。
水島は2004年10月22日に熊本県の指定名勝に指定され、さらに2009年には国の名勝にも指定されました。島へは堤防から小さな橋が架けられており、いつでも渡ることが可能です。自然豊かな風景が広がり、観光名所としても多くの人々に訪れられています。
『日本書紀』には、水島にまつわる伝説が記されています。景行天皇が九州を巡行していた際、芦北の小島で休息し食事をとろうとしたが、飲み水がなかったため、随行していた小左という人物が天地の神々に祈ったところ、冷たい水が湧き出て天皇に献上されました。これにより、この島は「水島」と名付けられたとされています。
しかし、その後の1955年頃には、工業用水の汲み上げによって島の湧水は涸れてしまいました。現在では、当時の出来事を伝える石碑が残るのみとなっています。
『県風土記』球磨の里には、「県の乾のかた七里、海中に嶋あり。積さ七十里ばかりなり。名づけて水嶋と曰ふ」と記されています。このように、古くから水島は歴史的にも特別な場所とされてきました。
水島は、その美しさと神秘性から、多くの和歌にも詠まれています。例えば、『万葉集』には次のような歌が収録されています。
「聞きし如まこと貴く奇しくも神さび居るかこれの水島」(長田王 万葉集3-245収録)
「葦北の野坂の浦ゆ船出して水島に行かむ波立つなゆめ」(長田王 万葉集3-246収録)
また、『続後撰集』には、曽根好忠による次のような歌も見られます。
「波のうつ 水島の浦の うつせ貝 むなしきからに 我や成らん」(曽根好忠 続後撰集収録)
水島は、公共交通機関や車でアクセスすることができます。以下は主な交通手段です。
最寄り駅は肥薩おれんじ鉄道線の肥後高田駅で、駅からタクシーで13分ほどで到着します。また、JR九州鹿児島本線の八代駅からは、まちバス・みなバス・ゆめバスなどの公共バスに乗車し、「八代市役所前」で下車します。さらに、九州産交バスの金剛経由日奈久下西町ゆき・大門瀬ゆきに乗り換え、「高植本町」で下車後、徒歩26分(約2.1㎞)で水島に到着します。
南九州自動車道八代南インターチェンジからは約5.5㎞の距離です。車を利用することで、より快適にアクセスできます。
水島は、その美しい景観と歴史的な背景から、多くの人々に親しまれています。観光地としても魅力的であり、古代から伝わる伝説や和歌を通じて、その特別な場所としての価値が再認識されています。熊本県八代市に訪れる際には、ぜひ水島を訪れて、その魅力を感じてみてはいかがでしょうか。