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足手荒神(医王寺)

(あして こうじん いおうじ)

医王寺は、熊本県八代市袋町にある高野山真言宗の寺院です。九州八十八ヶ所百八霊場の第54番札所として知られ、通称は「足手荒神」とも呼ばれています。この寺は、手足の病や怪我に霊験があるとされ、信仰を集めている歴史ある場所です。

医王寺の歴史

医王寺の創建年代は不明ですが、平安時代中頃に建立された古刹と伝えられています。当初は八代市通町に位置していましたが、天正年間(1573〜1592年)、キリシタン大名である小西行長によって一度破却されました。その後、寛文2年(1662年)に八代城主・松井寄之によって石原町(現在の八代市宮地町)に再建され、寛文5年(1665年)には松井寄之の妻・崇芳院尼によって現在の場所に移築されました。当時の住職には、当山派修験道の山伏・宝光院玄竜が任命され、松井家の祈祷所として機能しました。

文化財と重要な遺産

重要文化財(国指定)

医王寺には、崇芳院尼が篤く信仰した木造薬師如来立像があり、国指定の重要文化財に指定されています。

熊本県指定重要文化財

医王寺には、木造の聖観世音菩薩立像があり、熊本県の重要文化財に指定されています。

八代市指定有形文化財

八代市指定の文化財としては、白雲山医王寺や、浄心石塔、庚申碑と青面金剛堂があります。特に青面金剛堂は「足手荒神」として信仰を集めており、手足の病の平癒を祈願する参拝者が多く訪れています。

医王寺の行事

医王寺では、年間を通じてさまざまな行事が行われています。1月1日の初詣、2月3日の星祭り、4月5日のお砂踏み、7月17日の夏祭り、8月10日の施餓鬼会などがあり、毎月1日と15日には足手荒神祭が開催されています。多くの人が手足の健康や快癒を祈願するために参拝に訪れます。

足手荒神の信仰

「足手荒神」(あしてこうじん)は、手足の病気や怪我の快癒を祈願する神として信仰されています。足手荒神信仰は、手型や足型を奉納する風習があり、時にはギプスや松葉杖なども奉納されます。他人が奉納した手型や足型で自分の患部をなでることで、病が治ると信じられています。

この信仰は、熊本県や大分県を中心に広がっており、特に熊本県八代市の医王寺は、足手荒神信仰の主要な場所として知られています。また、熊本県阿蘇市の西巌殿寺にも足手荒神が祀られており、地域全体に深く根付いた信仰です。

庚申信仰と足手荒神

医王寺に祀られている足手荒神は、庚申信仰の本尊である青面金剛です。青面金剛は、病魔退散の力を持つ神として信仰されており、特に手足の病気の治癒を願う参拝者から篤い信仰を集めています。医王寺の青面金剛は、手足の痛みや病気を癒す神として、今日でも多くの参拝者に崇拝されています。

足手荒神信仰の広がり

足手荒神信仰は、熊本県内だけでなく、秋田県や福岡県、大分県など広範な地域にも広がっています。熊本県嘉島町の甲斐神社や熊本県大津町の西鶴甲斐神社、大分県竹田市の足手荒神など、多くの場所で足手荒神信仰が確認されています。また、これらの地域では、手型や足型を奉納する風習が現在でも続いており、手足の健康を祈る多くの参拝者が訪れています。

交通アクセス

医王寺は、手足の病気や怪我の治癒を願う参拝者にとって大切な場所であり、歴史と信仰が息づく寺院です。手型や足型を奉納する風習や、青面金剛を信仰する伝統が今も続いており、足手荒神信仰が地域の人々に大切に守られています。

Information

名称
足手荒神(医王寺)
(あして こうじん いおうじ)

八代・人吉・球磨

熊本県