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肥薩線

(ひさつせん)

肥薩線は、熊本県八代市の八代駅から鹿児島県霧島市の隼人駅に至る、九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線です。地方交通線に分類され、このうちの八代駅から吉松駅までの区間は「えびの高原線」という愛称がつけられています。肥薩線は、南九州の熊本、宮崎、鹿児島の3県を縦貫する唯一の鉄道路線として、観光資源や地元住民の生活に欠かせない役割を果たしています。

肥薩線の歴史

肥薩線の歴史は、1901年に鹿児島線(現在の鹿児島本線)として開業したことに始まります。当時は八代から鹿児島を結ぶルートでしたが、1927年に海沿いを走る新しいルートが開業したことにより、元のルートは「肥薩線」と名付けられました。「肥」は旧肥後国(現在の熊本県)、「薩」は旧薩摩国(現在の鹿児島県)に由来しています。

その後、肥薩線は吉松から隼人までの日豊本線の一部となり、現在では八代から隼人までの区間が肥薩線として残っています。この路線は、球磨川沿いの美しい風景や、山間部を通るループ線やスイッチバックが特徴的です。

観光列車と地域資源

肥薩線は、観光資源としても注目されています。2000年に急行「えびの」が廃止された後、観光列車として「SL人吉」や「いさぶろう・しんぺい」「はやとの風」などが導入され、沿線の美しい景観を楽しむための路線として整備が進められました。特に、木造駅舎や球磨川沿いの景色、スイッチバックなどは観光客に人気です。

肥薩線の路線データ

肥薩線の基本的なデータは以下の通りです。

観光資源としての役割

2004年の九州新幹線部分開業に伴い、肥薩線は観光路線としての価値を高めました。沿線にはSL(蒸気機関車)や観光列車が走り、多くの観光客が訪れます。また、地元住民の日常の足としても利用され、特に吉松から隼人までの区間では、通学や通勤に使われることが多いです。

沿線の見どころ

肥薩線は、八代から隼人までの間で3つの主要な区域に分かれ、それぞれ異なる景観や歴史的な見どころを楽しめます。

八代駅から人吉駅までの「川線」

この区間は「川線」と呼ばれ、球磨川に沿って走るため、美しい渓谷や川沿いの景色を楽しむことができます。途中には、2018年に撤去された荒瀬ダムの跡地や、瀬戸石ダムなどを見ることができ、特に川を渡る橋梁や深い渓谷を縫うように走る線路が印象的です。また、球磨川下りやラフティングを楽しむ観光客の姿も見られます。

人吉駅から吉松駅までの「山線」

人吉駅から吉松駅までは、国見山地を越える山線区間です。この区間では大畑駅でのスイッチバックやループ線、矢岳越えなど、鉄道ファンにはたまらない景観が広がります。特に、矢岳越えからの車窓は「日本三大車窓」の一つとして有名で、加久藤盆地や霧島連山を一望できます。

吉松駅から隼人駅までの区間

この区間は農村地帯を抜け、肥薩線の中でも利用者が最も多い区間です。学生の通学や地元住民の生活の足として、朝夕の利用が特に多くなっています。また、大隅横川駅や嘉例川駅は、開業当初からの木造駅舎が今も残り、国の登録有形文化財に指定されています。

運行形態

肥薩線の運行は、主に人吉駅と吉松駅で系統が分かれています。全線でワンマン運転が実施されており、観光列車とともに地元住民の足としても活躍しています。過去には急行「えびの」や特急「おおよど」などが運行されていましたが、現在では観光列車が中心です。

観光列車「SL人吉」

肥薩線の観光列車の中でも特に有名なのが「SL人吉」です。この蒸気機関車は、かつて豊肥本線で「SLあそBOY」として運行されていたものを復元し、2009年から熊本と人吉の間で運行されています。金・土・日曜日や祝日を中心に運行され、鉄道ファンや観光客に人気があります。

まとめ

肥薩線は、南九州を縦貫する唯一の鉄道路線であり、その歴史や美しい景観、観光列車の魅力により、多くの人々に愛されています。特に、球磨川沿いの渓谷美や矢岳越えからの車窓など、他では味わえない魅力が詰まっています。観光資源としての価値も高く、今後も多くの観光客や地元住民に利用され続けることでしょう。

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名称
肥薩線
(ひさつせん)

八代・人吉・球磨

熊本県