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浮島神社

(うきしま じんじゃ)

浮島神社は、熊本県上益城郡嘉島町に鎮座する神社で、夫婦神であるイザナギの尊とイザナミの尊を祀っています。正式名称は「浮島熊野坐神社(うきしま くまのます じんじゃ)」で、地元では親しみを込めて「浮島さん」と呼ばれています。神社は池に突き出た半島のような地形にあり、対岸から見るとまるで浮島のように見えることからその名が付けられました。その景観は、まるで厳島神社を髣髴とさせる美しさを持っています。周囲は「浮島周辺水辺公園」として整備され、自然豊かな風景が広がっています。

浮島神社の歴史と由緒

浮島神社の由来は、平安時代の長保3年(1001年)に遡ります。この地を治めていた井王家3代目、井王三郎直久が、湿地帯のため五穀の収穫がままならず、屋敷神である熊野坐神社に日夜祈りを捧げていました。ある夜、熊野の神が枕元に現れ、「屋敷の北側を掘れ」とのお告げを受けます。直久がその言葉に従い掘ってみると、周囲の水が集まって大きな池ができ、湿地の水気がなくなり、農作物の収穫が上がるようになりました。

その後、大きな池に黄金色に輝く「兜石」が現れ、人々を驚かせました。この「兜石」をご神体とし、屋敷神を神社へ移行し、井王三郎自身が神主となりました。それ以来、千年にわたって井王家が神職を担い続けており、現在の宮司は41代目を数えます。

浮島神社のご利益

浮島神社のご利益は、多くの神々を産んだ夫婦神イザナギとイザナミの神を祀ることから縁結び夫婦和合子宝安産初宮詣家内安全地鎮祭などが挙げられます。また、イザナギの尊は古事記に記されている「禊」を発明した神でもあるため、厄祓いにもご利益があります。

浮島神社の境内は、台風などの大雨でも水没しないため、浮き沈みの激しい業界の人々が縁起を担いでお参りに訪れることが多いです。「浮く」という言葉にちなみ、営業成績の向上健康回復学業成績の向上を願う「浮き守り」も有名です。

浮島神社の祭祀

例祭と七草粥

浮島神社の例祭は毎年9月15日に行われます。また、1月7日には七草粥が振る舞われます。七草粥は神社の神饌田で作られた赤米と黒米を使って作られ、参拝者に無料で提供されます。この行事は多くの人々で賑わい、健康と豊作を祈る大切な行事となっています。

うき美たま祭

うき美たま祭は、12月31日に行われる幻想的な神事で、水に浮かべると点灯するろうそく型のLEDを池に浮かべ、来る年の幸せ、縁結び、家内安全を祈ります。この神事は非常に美しく、東日本大震災発生後からは義援金を集める目的でも斎行されています。平成24年3月11日にも実施されました。

浮島神社の池「神の池」

浮島神社の境内に広がる神の池は、6000坪の湧水によって成り立っています。この池の1日の噴出量は約15万トンに及び、その名水としての評判は高く、数々の賞を受賞しています。平成の名水百選、水の郷百選、ため池百選にも選定されており、その美しさと豊かさから多くの人々に親しまれています。

浮島神社周辺の名所と自然環境

浮島周辺水辺公園

浮島神社の周辺は「浮島周辺水辺公園」として整備されており、訪れる人々に自然と触れ合う機会を提供しています。チガヤ、ヨシ、セキショウなどの植物が茂り、水面にはカイツブリやカワセミ、冬にはカモが訪れる越冬地にもなっています。この自然豊かな環境は、地元住民だけでなく観光客にとっても憩いの場所として親しまれています。

浮島と六嘉湧水群

六嘉湧水群は、浮島神社の近隣に位置する六嘉地区の湧水群で、この地域は「砥川溶岩」を基盤とし、阿蘇火砕流の堆積物や有明粘土層が地中に堆積しています。そのため、水分が豊富に含まれた土地であり、わずか1.5メートルほど掘ると伏流水が湧出します。「浮島・六嘉湧水群」として平成の名水百選に選定されており、地域の貴重な水資源となっています。湧水の周辺には洗い場が設けられ、住民同士の交流の場としても利用されています。

嘉島湧水天然プール

「嘉島湧水天然プール」は、湧水を利用して作られた全国でも稀なプールで、夏期には町内外から多数の人々が訪れ、清涼感を楽しんでいます。この湧水天然プールは、自然との共生を大切にした地域の特色あるスポットであり、親子連れで賑わう場所です。

浮島神社の祭事とイベント

浮島ミヤシェ「御むすび市」

平成25年10月27日(日)には「浮島ミヤシェ 御むすび市」が開催されました。このイベントでは、地元の特産品や手作りの食品が販売され、多くの人々が訪れて賑わいました。地元の伝統や文化を紹介する場として、地域の活性化にも寄与しています。

自転車市庭

平成25年11月24日(日)には、第1.5回目となる「自転車市庭」が開催されました。地元の人々や観光客が参加し、自転車を使った楽しいイベントが行われました。自然の中を自転車で巡ることで、浮島周辺の美しい景色を楽しむことができる機会として人気があります。

浮島神社へのアクセス情報

鉄道でのアクセス

浮島神社の最寄り駅はありませんが、かつては熊延鉄道「六嘉駅」が最寄り駅でした(昭和39年(1964年)3月31日に廃止)。

バスでのアクセス

熊本市方面からは、桜町バスターミナル(24番のりば)から熊本バス(路線番号:東11)に乗り、「御船経由甲佐・砥用・玉虫行き」または「イオンモール熊本経由城南行き」に乗車し、「下六嘉」バス停で下車後、徒歩約10分です。イオンモール熊本からは「イオンモール熊本」バス停から同じ路線のバスに乗り、「下六嘉」バス停で下車、徒歩約10分で到着します。

自家用車でのアクセス

自家用車の場合は、熊本県道226号六嘉秋津新町線を利用し、熊本市電健軍町停留場から車で約10分、または九州道「御船IC」より車で約10分で到着します。駐車場も完備されており、大型バスも利用可能です。

まとめ

浮島神社は、夫婦神を祀る神社として、縁結びや家内安全、安産など様々なご利益を持つ場所です。また、歴史深い由緒や豊かな自然環境、美しい景観に囲まれた浮島神社は、訪れる人々に心安らぐ時間を提供しています。四季折々の祭事やイベントも多く、地域に根ざした活動が行われており、観光客にとっても魅力的なスポットです。浮島神社を訪れて、その美しさと豊かな歴史、伝統を感じてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
浮島神社
(うきしま じんじゃ)

阿蘇・黒川(黒川温泉)

熊本県