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峐の湯温泉

(はげのゆ おんせん)

峐の湯温泉(はげの湯温泉)は、熊本県阿蘇郡小国町に位置する温泉地です。九重連山のひとつである標高1499.5mの涌蓋山(わいたさん)の西麓に広がる、静かでのどかな高原状の山地にあります。ここは、岳の湯温泉、地獄谷温泉、山川温泉、麻生釣温泉、鈴ヶ谷温泉とともにわいた温泉郷を形成しており、多様な泉質と豊かな自然に恵まれています。

峐の湯温泉の由来

「峐の湯温泉」の名の由来についてはいくつかの説があります。温泉の立地する湧蓋山の南斜面は日当たりが良く、その場所を「はげ」と呼んだことが一つの説です。また、温泉の蒸気が立ち上るため草木が育たない「はげ地」も由来の一つとされています。「峐の湯温泉」という名称は正式には「峐」と書きますが、旅館の経営者などでもその正確な由来を知る人は少ないようです。

日本全国には約20箇所ほど「ハゲ」という地名があり、山間の狭い場所や、日当たりの良い南向きの場所などを意味する場合があります。峐の湯温泉も、これらの特徴を持つ地形に位置しているため、この名称がつけられたと言われています。

泉質と温泉の特徴

峐の湯温泉の泉質は、弱アルカリ性単純硫黄泉や含硫黄ナトリウム塩化物泉などが主であり、源泉温度は約92 - 97℃に達します。温泉街全体では、地面のいたるところから湯煙が立ち上り、独自の景観が広がっています。ここでは、地熱を利用した蒸し地鶏の料理も名物となっており、訪れる人々に特別な体験を提供しています。

峐の湯温泉の温泉街

峐の湯温泉には「山翠」、「まつや」、「わいた山荘」、「たけの蔵」の4軒の旅館と、家族風呂専用の24時間営業の日帰り貸切温泉「くぬぎの湯」、1軒の共同浴場があります。これらの旅館はそれぞれ専用の源泉を持ち、異なる泉質の温泉が楽しめます。多くの旅館では源泉掛け流しの温泉を提供しており、山の斜面を利用した立地からは広大な自然の眺望を堪能することができます。また、涌蓋山の登山口としても知られ、登山者にも人気の場所です。

「山翠」の洞窟風呂

「山翠(さんすい)」は温泉街の中でも最も高い場所に位置し、混浴露天風呂や洞窟風呂、内風呂、打たせ湯など、さまざまな種類の風呂を楽しむことができます。特に、97℃の地獄の蒸気で蒸し上げた地鶏料理が名物で、日帰り入浴も可能です。

「やすらぎの宿 まつや」

「やすらぎの宿 まつや」は創業150年の歴史を持つ老舗旅館で、1998年にリニューアルオープンしました。ここでは、貸切風呂や家族風呂など8種類の風呂を楽しむことができ、元祖地鶏の地獄蒸しが名物です。旅館の全室から涌蓋山を望むことができ、日帰り入浴も可能です。

「わいた山荘」

「わいた山荘」は2つの源泉を持ち、乳白色の湯や屋上展望桶風呂、露天風呂など6つの風呂が楽しめます。こちらも地鶏の地獄蒸しが名物で、2020年に「わいた館」としてリニューアルしました。日帰り入浴はできませんが、宿泊者には贅沢な温泉体験が提供されます。

「たけの蔵」

「たけの蔵」は2005年に開業した比較的新しい旅館ですが、280年の歴史を持つ古民家を移築して建設されたため、風情ある古風な雰囲気が漂っています。

「くぬぎの湯」

「くぬぎの湯」は24時間営業の貸切専用日帰り温泉で、家族風呂や蒸し地獄での卵やサツマイモの調理も楽しめます。

共同浴場

峐の湯温泉には共同浴場もあり、コンクリート打ちっ放しのシンプルな造りで、ひょうたん型の湯船を持つユニークな施設です。無色透明な間欠泉が特徴です。

歴史

峐の湯温泉は、昭和40年代に漫画家つげ義春が「旅のスケッチ」で紹介したことで一時注目されましたが、当時はまだ地元の人々以外にはほとんど知られていない小さな湯治場でした。その後、秘湯ブームの影響を受け、多くの観光客が訪れるようになり、現在のように一般客が多く訪れる温泉地へと発展しました。

1980年代には7戸ほどの小さな集落で、旅館も2軒しかありませんでした。しかし、車でのアクセスが便利になったことで、峐の湯温泉は再び多くの人々に利用されるようになりました。

アクセス

峐の湯温泉へのアクセスは、JR九州豊肥本線阿蘇駅から九州産交バス杖立温泉行きに乗車し、「ゆうステーション」で下車後、タクシーで約22分です。また、西鉄天神高速バスターミナル・博多バスターミナルからも高速バスが運行されており、福岡からも訪れることができます。車の場合は、大分自動車道九重インターチェンジから約20㎞、九州自動車道熊本インターチェンジからは約66㎞です。

Information

名称
峐の湯温泉
(はげのゆ おんせん)

阿蘇・黒川(黒川温泉)

熊本県