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仙酔峡

(せんすいきょう)

仙酔峡は、熊本県阿蘇市に位置する美しい峡谷です。阿蘇山高岳の北麓に広がり、標高は約900mに達します。眼下には阿蘇カルデラの北側に位置する阿蘇谷と北外輪山が一望できるため、その壮大な風景が多くの観光客を魅了しています。

自然の魅力

仙酔峡の最も美しい季節は春です。特に5月にはミヤマキリシマの花が咲き乱れ、峡谷全体が鮮やかなピンク色に染まります。この花の群生地としても知られており、その美しさはまるで仙人が酔いしれるかのようだと言われ、この地名が付けられました。ミヤマキリシマの見頃の時期には、多くの観光客がこの絶景を楽しむために訪れます。

観光スポットとしての仙酔峡

仙酔峡はその美しい自然だけでなく、登山の拠点としても人気があります。峡谷には阿蘇の自然や観光情報を提供するインフォメーションセンターがあり、阿蘇高岳や中岳への登山者が多く訪れます。また、近隣には単純温泉の仙酔峡温泉もあり、登山やハイキングの後に疲れを癒すのに最適な場所です。

仙酔峡の歴史とロープウェイ

仙酔峡ロープウェイの概要

仙酔峡には、かつて東阿蘇観光開発株式会社が運行していた仙酔峡ロープウェイがありました。このロープウェイは、阿蘇山の東側から火口にアプローチするための重要な観光ルートとして機能していました。阿蘇山の火山活動によっては運休することもありましたが、5月のミヤマキリシマのシーズンには多くの乗客が訪れました。

しかしながら、阿蘇山ロープウェーと比べると年間の旅客数は少なく、運営面では厳しい状況が続いていました。特に阿蘇市の財政が厳しいことから、2005年度からはロープウェイの運営を見直す動きが始まりました。

運営休止とその後の経緯

2010年5月4日、仙酔峡ロープウェイはモーター故障により運休しました。その後の交渉では、運営を引き継ぐ企業が見つからず、2011年12月5日に営業を休止することが決定されました。さらに、2016年に発生した熊本地震の影響で施設自体が被災し、アクセス道路も崩落しました。その結果、再開は非常に困難な状況となりました。

2019年、阿蘇市は東阿蘇観光開発の経営健全化方針を策定し、同社は精算されることが決まりました。ロープウェイのワイヤーケーブルは阿蘇市に無償譲渡された後、撤去される予定となっています。

ロープウェイの詳細

ロープウェイは1964年に九州産業交通によって開業し、その後も数回の改修を経て運行されてきました。全長は1,485m、高低差は389mで、定員61名のゴンドラが約9分で峡谷を移動していました。しかし、2010年以降は運休し、その後完全に営業を停止しています。

駅一覧

交通アクセス

仙酔峡へのアクセスは非常に便利で、以下の交通手段が利用できます。

まとめ

仙酔峡は、その名の通り、仙人が酔うほどの美しい景観を誇る峡谷であり、ミヤマキリシマの群生や阿蘇山の雄大な風景を楽しむことができる観光地です。また、かつては仙酔峡ロープウェイが観光の一環として多くの観光客を魅了していましたが、残念ながら現在は営業を停止しています。それでも、阿蘇の自然を満喫できるこの場所は、訪れる価値が十分にあります。

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名称
仙酔峡
(せんすいきょう)

阿蘇・黒川(黒川温泉)

熊本県