阿蘇ジオパークは、熊本県阿蘇地方に位置する阿蘇カルデラを中心とした日本のジオパークです。この地域は、日本を代表する活火山の一つである中岳など、活発な火山活動をテーマにしています。阿蘇カルデラは世界最大級の規模を誇り、火山の恵みと人々の生活が調和した地域です。
2009年に阿蘇地域の8市町村を阿蘇ジオパークとして「日本ジオパーク」に登録され、その後、2014年9月には「世界ジオパーク」にも登録されました。この地域は、自然の壮大な力を感じさせる火山の風景と、そこに根付いた人々の暮らしを深く知ることができる場所です。
阿蘇ジオパークのテーマは、阿蘇火山がもたらす大地と、そこでの人間生活の共生です。このテーマに基づき、火山の自然と人々の生活の歴史を結びつけたストーリーが展開されています。
阿蘇火山は、世界でも有数の規模を誇る巨大カルデラを形成しています。約27万年前から約9万年前にかけて、4回の大規模噴火が発生し、そのうち最大の噴火である「Aso-4噴火」は、約600立方キロメートルの火砕物を放出しました。この噴火によって、広大な火砕流台地が形成され、火砕流は山口県の秋吉台にまで達しました。
阿蘇カルデラ内の中央火口丘は、巨大噴火の名残として形成され、現在も活動を続けています。中岳はAランクの活火山で、定期的に噴煙を上げています。活動が穏やかな時には、エメラルドグリーンの火口湖を見渡すことができますが、火山ガスが放出されるため、喘息や呼吸器系の疾患を持つ方は火口周辺への立ち入りが制限されています。中岳の荒涼とした風景は、過去の噴火や火山ガスの影響によるものです。
阿蘇カルデラ内には約5万人の人々が生活しており、鉄道や国道も走っています。また、阿蘇は全国でも屈指の多雨地域で、降った雨が地下水として湧出し、豊富な水資源がもたらされています。さらに、火山の熱源を利用した温泉も多く存在し、古くから観光地としても発展してきました。
火山信仰が根強いこの地域では、阿蘇神社をはじめとする多くの神社仏閣が火山の神を祀り、阿蘇火山との深い関わりを示しています。また、阿蘇の草原は千年以上にわたって人々によって野焼きが行われ、その景観が維持されています。
阿蘇ジオパークは、33のジオサイトから構成されており、それぞれが独自の景観と歴史を持っています。
阿蘇の雄大な景色を一望できる人気のスポットです。
現在も活発に噴煙を上げる中岳の火口を中心に、迫力ある火山活動を体感できる場所です。
広大な草原が広がり、四季折々の風景が楽しめる草千里は、多くの観光客を魅了します。
美しい円錐形をした火山丘で、シンボル的な存在です。
古くからの火山活動の痕跡が見られるエリアで、学術的にも貴重な場所です。
阿蘇ジオパークには、以下の拠点施設が設置されています。
阿蘇火山の歴史や自然について学べる施設です。
地域の文化や自然を感じられる場所です。
阿蘇の自然や文化を紹介するビジターセンターです。
小国町の観光や自然を案内する施設です。
2017年9月14日、阿蘇ジオパーク内の立野峡谷ジオサイトにおいて、阿蘇大橋の架け替え工事中に柱状節理が無断で削られていたことが判明しました。この工事は国土交通省熊本復興事務所が行い、地元との協議が不足していたことが問題となりました。
ジオパーク内での開発には法的な規制がないため、事前に報告義務はありませんが、地元との連携の重要性が改めて認識されています。