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古閑の滝

(こが たき)

古閑の滝は、熊本県阿蘇市に位置する滝で、冬季に見られる氷瀑(ひょうばく)が特に有名です。阿蘇の厳しい寒さの中で凍結した滝が、まるで彫刻のような美しい姿を見せ、観光客の目を引きます。

古閑の滝の概要

雄滝と雌滝の美しさ

古閑の滝は、二つの滝で構成されています。一つは「雄滝(おだき)」で、もう一つは「雌滝(めだき)」です。それぞれの滝の特徴は以下の通りです。

雄滝

雄滝の落差は80メートルで、周囲の岩肌に沿って流れ落ちる姿が特徴的です。しかし、通常の水量は少なく、岩肌が湿る程度の水の流れであるため、目立たないことが多いです。

雌滝

一方、雌滝は雄滝よりも高く、落差は100メートルにも達します。こちらも通常は水量が乏しいですが、冬季になると一変し、圧倒的な氷の滝としてその姿を表します。特に雌滝が完全に凍結した時の姿は壮観で、阿蘇カルデラの各所からその氷瀑の威容を楽しむことができます。

冬の魅力—氷瀑

古閑の滝が真の魅力を発揮するのは、1月から3月の厳寒期です。この時期には北西から吹き付ける強風が滝を完全に凍結させ、見事な氷瀑を作り上げます。特に、全長100メートルの雌滝がすべて氷に覆われた姿は、訪れる人々に感動を与える自然の芸術作品です。

さらに、寒さが和らぎ始めると、滝から落ちる氷が溶け出し、その落氷の音が麓の集落にまで響き渡ります。この音は地元では「春の訪れ」を告げる風物詩として親しまれており、古くからの習慣として地域の人々に愛されています。

歴史的背景

古閑の滝には古くからの利用法がありました。かつて、この滝の氷は「氷室(ひむろ)」に保存され、夏季には病気の治療や冷却のために使用されていたと言われています。現代ではその風習は廃れてしまいましたが、滝の歴史とともに、地域の伝統が生き続けています。

仙酔峡の涸れ滝

古閑の滝と同じく阿蘇市内には「仙酔峡(せんすいきょう)」と呼ばれる美しい場所があり、そこには落差6メートルの涸れ滝が存在します。通常は水が流れない涸れ滝ですが、冬季には氷結し「裏見の氷瀑」として知られています。こちらも訪れる価値のある美しい氷の滝です。

古閑の滝へのアクセス

公共交通機関でのアクセス

古閑の滝へは、JR九州豊肥本線「宮地駅」からタクシーを利用し、約20分で到着します。冬季に訪れる際は、事前に交通情報や天候を確認することをおすすめします。

車でのアクセス

車でのアクセスも可能です。九州自動車道「熊本インターチェンジ」からおよそ48キロメートルの距離にあります。国道57号の「坂梨交差点」から駐車場(有料)まで約2キロメートルで、そこから徒歩5分ほどで滝のふもとに到達します。駐車場から滝までの遊歩道は舗装されており、鉄製の階段も設置されているため、冬季でも比較的安全に散策が可能です。

冬季の装備について

冬の古閑の滝は、厳しい寒さと凍結が特徴です。そのため、訪れる際には寒さ対策が重要です。駐車場では、冬季限定で杖やスパイク付き長靴などの貸し出しも行っているため、安全に氷瀑を楽しむための準備を整えましょう。

まとめ

古閑の滝は、冬季の氷瀑が最大の見どころとなる熊本県阿蘇市の自然の美しい観光スポットです。寒い季節にしか見ることのできない氷の彫刻のような雄大な姿は、訪れる人々を魅了します。また、歴史的にも地元の人々に愛されてきた滝であり、春を告げる音や、かつての氷の利用法など、豊かな文化的背景も感じられる場所です。

アクセスも良好で、冬季の観光にも対応した設備が整っているため、冬の阿蘇を訪れる際には、ぜひ古閑の滝を訪れてみてください。

Information

名称
古閑の滝
(こが たき)

阿蘇・黒川(黒川温泉)

熊本県