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阿蘇山

(あそざん)

阿蘇山は、日本の九州中央部、熊本県阿蘇地方に位置する活火山です。カルデラを伴う複成火山であり、その壮大な規模と美しい自然環境で、観光地としても多くの人々に親しまれています。

概要

阿蘇山は、カルデラと中央火口丘で構成されており、主要な山々として高岳、中岳、根子岳、烏帽子岳、杵島岳が挙げられ、これらは阿蘇五岳と呼ばれています。最高点は高岳の標高1592mに達し、カルデラの大きさは南北25km、東西18kmであり、面積は380km²にも及びます。このカルデラの広さは、屈斜路湖に次いで日本で2番目の大きさです。

阿蘇山は、2007年に「日本の地質百選」に選定され、2009年には「阿蘇ジオパーク」として日本ジオパークおよび世界ジオパークに認定されました。また、「日本百名山」にも数えられており、阿蘇くじゅう国立公園の一部としても知られています。

外輪山と阿蘇五岳

阿蘇山の地形的特徴

阿蘇山は、カルデラ内に形成された中央火口丘群の中で、根子岳、高岳、中岳、杵島岳、烏帽子岳が阿蘇五岳と呼ばれます。北側の阿蘇谷方面から五岳を眺めると、釈迦が寝ている姿を表した涅槃像に似ていると言われています。この特徴的な形状は、阿蘇山の魅力の一つとして多くの観光客に愛されています。

阿蘇五岳の特徴

阿蘇五岳の中央に位置する中岳は、現在も噴煙を上げる活火山であり、近年でも活動が確認されています。最高峰の高岳は、標高1592mを誇り、その眺望は圧巻です。根子岳は、他の山々よりも古く、カルデラ形成前から存在していた山とされています。

ミヤマキリシマの群生地

阿蘇五岳の山頂付近は、ミヤマキリシマの群生地となっており、特に春から夏にかけては、山肌がピンク色に染まる壮観な景色を見ることができます。この時期には、多くの登山者や観光客が訪れ、自然の美しさを楽しんでいます。

阿蘇山の観光と防災

阿蘇山の観光地としての魅力

阿蘇山は、阿蘇くじゅう国立公園の一部として、温泉やレジャースポットが点在する観光地でもあります。夏には、全国からライダーたちがツーリングに訪れ、阿蘇の壮大な自然を楽しみます。

噴火時の防災対策

中岳火口周辺には、噴火時の災害対策として9つの退避壕が設置されており、噴火や有毒ガス発生時には観光客や住民の安全を守る体制が整えられています。また、火山活動が穏やかな時期には火口に近づいて見学することができますが、活動が活発化すると、立ち入りが規制されることもあります。

阿蘇山の名称と由来

「阿蘇山」という名前の由来については、様々な説がありますが、漢字の「阿」は原点、「蘇」は蘇生や復活を意味し、「原点に返り復活する場所」という意味を持つという説が有力です。

阿蘇カルデラの地形と歴史

カルデラの形成

阿蘇カルデラは、27万年前から9万年前にかけての4回にわたる巨大噴火によって形成されました。その広大な地形は、日本で2番目の大きさを誇り、周囲を取り囲む外輪山とともに独特の風景を作り出しています。

火砕流台地

9万年前の巨大噴火では、噴出物が384 km³に達し、火砕流は九州の半分を覆ったとされています。この噴火の痕跡は、熊本県を中心に、宮崎県や大分県に至る広範囲にわたり、火砕流台地として残されています。

阿蘇山の気候と観測

阿蘇山周辺の気候は、西岸海洋性気候に属しており、夏は冷涼で冬は厳しい寒さが特徴です。標高が高いため、真夏日や猛暑日を観測したことはほとんどなく、避暑地としても人気があります。

また、阿蘇山特別地域気象観測所では1931年から気象観測が行われてきましたが、2009年に測候所が廃止され、自動観測へと移行しました。その後、2017年に観測所自体も廃止されましたが、年間降水量は約3206mmと非常に多く、地下水資源としても重要な役割を果たしています。

阿蘇山の火山活動の歴史

先カルデラ火山活動期

約600万年前から35万年前にかけて、阿蘇山周辺では火山活動が行われていたとされていますが、特に85万年前からの活動が顕著です。この時期には先阿蘇火山群が形成され、現在の外輪山の一部もこの時期に作られました。

カルデラ形成期

先阿蘇火山群の活動が終了した後、阿蘇カルデラを形成する巨大噴火が4回にわたり発生しました。この噴火によって、現在の広大なカルデラが形成されました。

後カルデラ火山活動期

カルデラ形成後は、中央火口丘群の活動が中心となり、現在でも中岳では定期的に噴火が観測されています。この活動は、今後も続くと考えられており、阿蘇山は日本の代表的な活火山として、その動向が注目されています。

Information

名称
阿蘇山
(あそざん)

阿蘇・黒川(黒川温泉)

熊本県