高森湧水トンネル公園は、熊本県阿蘇郡高森町に位置する美しい公園です。この公園は、湧水が豊富であり、訪れる人々に自然の豊かさとトンネルの歴史を感じさせる特別な場所です。
このトンネルは、もともと旧国鉄高森線と高千穂線をつなぐ「高森トンネル」として建設が開始されました。1973年(昭和48年)に建設が始まり、全長6480mを予定していましたが、1975年(昭和50年)に発生した出水事故をきっかけに、度重なる出水事故により工事は中断されました。最終的には2055m掘り進めた段階で工事が中止され、1980年(昭和55年)にトンネルの建設は完全に中止されました。
その後、このトンネルの一部と出口付近が整備され、1994年(平成6年)より公園として一般公開されるようになりました。公園内の湧水は、現在も毎分32トンもの水量を誇り、地域の貴重な水源として活用されています。飲用水や農業用水として利用されており、地域住民にとっても重要な役割を果たしています。
高森湧水トンネルは、内部の温度が年間を通じて約17度と一定で、夏でも涼しく、冬でも寒すぎないため、四季を問わず快適に訪れることができます。また、トンネル内には「ウォーターパール」という仕掛け噴水があり、これが観光名物となっています。透明な水の玉が宙に浮かぶ様子は、訪れた人々を魅了します。
高森湧水トンネル公園では、毎年7月に「七夕まつり」が開催され、トンネル内には美しい七夕飾りが展示されます。また、12月には「クリスマスファンタジー」が行われ、イルミネーションで彩られたトンネル内は幻想的な雰囲気に包まれます。これらのイベントは、季節ごとに訪れる楽しみを提供し、多くの観光客を引きつけています。
トンネルの上部には、「湧水館」という資料館が併設されています。この施設では、湧水やトンネルの歴史について学ぶことができ、訪れる人々に高森町の自然や文化についての理解を深めてもらうための情報が展示されています。特に、湧水の大切さやトンネル工事の歴史について知ることができ、教育的な役割も果たしています。
1975年に発生した出水事故の影響で、トンネル近隣の湧水がほとんど枯れてしまいました。この湧水を生活用水として使用していた約190世帯の住民に対しては、鉄道公団が負担して配水設備を建設しました。この補償契約は現在も続いており、地域住民の生活に欠かせないものとなっています。
熊本県阿蘇郡高森町高森1034-2
大人300円、小人100円
4月から10月は9:00から18:00まで、10月から3月は9:00から17:00まで開園しています。湧水館は9:00から16:00まで開館しています。
公園自体は休園日がありませんが、湧水館は月曜日が休館日となっています(祝日・休日の場合は営業)。
南阿蘇鉄道高森線高森駅から徒歩約14分(約1100m)で到着します。また、熊本桜町バスターミナルからは九州産交バスたかもり号に乗車し、「高森湧水トンネル公園入口」バス停で下車、そこから徒歩約7分(約580m)でアクセスできます。
九州自動車道熊本インターチェンジから約39kmの距離にあり、駐車場も完備されていますので、車での訪問も便利です。
高森湧水トンネル公園は、歴史的な背景を持つトンネルと豊かな湧水が楽しめる、熊本県の魅力的な観光地です。トンネル内のユニークな噴水や季節ごとのイベントもあり、自然と文化が融合したこの公園は、一年を通して訪れる価値があります。自然の豊かさと、地域に根付いた歴史を感じながら、リラックスできる時間を過ごすことができるでしょう。