俵山は、熊本県阿蘇郡西原村と南阿蘇村にまたがる標高1,095mの山で、その山頂は西原村に位置します。この山は、先史時代の阿蘇山の大噴火によって形成された阿蘇外輪山の一部で、阿蘇外輪山の西端にある特徴的な一峰です。
俵山は、阿蘇カルデラの南郷谷に面した東斜面と、熊本平野に向かって緩やかに下る西斜面を持つ地形が特徴です。特に、南郷谷から見上げた山容が、積み上げられた米俵のように見えることから、「俵山」という名がつけられました。
毎年春に行われる「野焼き」によって、俵山の山腹には広大な草原が保たれています。阿蘇山をはじめとする周辺の山々の眺望に優れ、登山やハイキングに訪れる人々に人気があります。特に、山腹の西側にある「扇坂展望所」からは熊本市や有明海が遠望でき、東側の「俵山峠展望台」からは阿蘇五岳や眼下に広がるカルデラの絶景を楽しむことができます。
俵山の山頂へは、複数の登山ルートがあります。主なルートとしては、以下の3つがあります。
車でのアクセスは、九州自動車道益城熊本空港インターチェンジから県道206号線、県道28号線を経由して俵山まで約22kmです。また、公共交通機関を利用する場合は、熊本市内から出発する「快速たかもり号」で約60分、バス停「萌の里・俵山登山口」で下車することでアクセス可能です。
熊本市と高森町を結ぶ熊本県道28号線は、かつて「俵山峠」を越えるルートでした。この道は「七曲峠」とも呼ばれ、急カーブの連続する道路で、霧や冬季の凍結により交通の難所として知られていました。しかし、2003年に俵山の山腹を貫通する「俵山トンネル」と「南阿蘇トンネル」を含むバイパスが完成したことで、熊本市と南阿蘇方面へのアクセスが大幅に改善されました。
2005年、西側の山腹に風力発電所「阿蘇にしはらウィンドファーム」が建設されました。この発電所には10基の大型風車が設置され、熊本市の東近郊からもその姿を望むことができます。しかし、2016年の熊本地震で9基がひび割れなどの被害を受け、一時稼働を停止しましたが、2018年には再び9基が復旧し、稼働を再開しました。
俵山周辺には、さまざまな観光スポットがあります。自然と触れ合える施設や展望台、温泉地など、訪れる人々にとって充実した観光を楽しめるエリアです。
俵山は、その美しい自然と眺望、アクセスの良さから、登山者や観光客にとって人気のスポットです。阿蘇カルデラや熊本平野を見渡すことができる展望台や、風力発電所などの特徴的な施設があり、訪れる人々にさまざまな魅力を提供しています。また、周辺の温泉地やキャンプ場も合わせて訪れることで、豊かな自然の中でのリフレッシュを楽しむことができます。