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一心行の大桜

(いっしんぎょう おおざくら)

一心行の大桜は、熊本県阿蘇郡南阿蘇村にある一本桜であり、桜の名所として知られています。長い歴史を持ち、毎年多くの観光客が訪れる観光スポットとなっています。

概要

一心行の大桜は、ヤマザクラの品種で、樹齢は400年以上とされています。樹高14m、幹周囲7.35m、枝張は東西21.3m、南北26mに達する大木です。このような大きさの桜は九州では希少であり、福岡県の虎尾桜(樹齢600年、樹高23m)と並んで有名です。

特徴

この桜は、かつてこの地を治めた武将、中村(峯)伯耆守惟冬(ほうきのかみこれふゆ)の菩提樹として植えられました。墓地に咲くこの桜は、春になると周囲の菜の花とともに見事な風景を作り出し、多くの人々を魅了しています。

1999年にはテレビ朝日の「ニュースステーション」の夜桜中継で紹介され、その後急速に観光客が増加しました。現在では毎年約20万人がこの大桜を訪れます。2002年から南阿蘇村は桜の周辺を公園化し、花公園、パークゴルフ場、駐車場などの整備を行っています。

歴史

戦国時代の背景

一心行の大桜は、戦国時代に遡る歴史を持っています。現在の南阿蘇村は当時「峯村(みねむら)」と呼ばれていました。峯村に築かれた鶴翼城(かくよくじょう)に住んでいた伯耆守惟冬は、1580年(天正8年)の薩摩島津氏との戦いで矢崎城において戦死しました。

その後、惟冬の妻子は少数の家臣とともに故郷の峯村に戻り、戦火に散った惟冬と家臣たちの霊を弔うために桜の苗木を植えました。この一心に行を収めたという逸話が「一心行」の名の由来とされています。

近代の変遷

昭和初期には落雷により幹が6本に裂けましたが、その後ドーム型に広がる美しい形に成長しました。しかし、2004年に台風16号および18号の影響で4本の主幹のうち2本が折れ、現在はM字型の姿となっています。これにより、桜の傷や空洞、腐食菌による被害が増えましたが、現在は「くまもと緑の財団」により定期的な養生が行われています。

家族の遺産

現在でも、伯耆守惟冬の直系の子孫が墓地とともにこの大桜を所有しており、代々大切に守り続けられています。

交通アクセス

観光情報

一心行の大桜は、毎年春にその見事な花を咲かせ、地元住民だけでなく国内外から多くの観光客を引き寄せます。特に桜が満開になる時期には、周辺の菜の花畑と相まって、美しい風景が広がります。また、整備された公園施設により、訪れた観光客が快適に過ごせる環境も整っています。

注意事項

桜の見頃の時期には多くの観光客が訪れるため、駐車場や公共交通機関の混雑が予想されます。訪問の際は、早めの行動や公共交通機関の利用がおすすめです。また、桜の保護のため、立ち入り禁止区域には注意し、環境を守るためのマナーを守るよう心掛けてください。

Information

名称
一心行の大桜
(いっしんぎょう おおざくら)

阿蘇・黒川(黒川温泉)

熊本県