熊本県

一文字のぐるぐる

(ひともじ)

ユニークな名前からは想像できないシンプルな熊本の郷土料理

葱(ワケギ)をさっと茹で氷水にくぐらせて、根元を軸に葉の部分をぐるぐる巻きつけたものを酢味噌につけて食べる熊本県の郷土料理。熊本では葱(ワケギ)を一文字(ひともじ)と呼び、ぐるぐる巻くことからこの名前がついたと言われている。このひともじぐるぐる、熊本の居酒屋のどこでも見かけるかというとそうでもない。一本一本手巻きする必要があるためすごく手間がかかるからだ。酢みそをつけたねぎの食感はお酒にぴったり。辛子レンコンと共に熊本を代表する郷土料理の一つだ。

6代目藩主細川重賢の時代、肥後藩の財政が苦しく立て直しを図って倹約令が出された際に、安くて美味しい酒のつまみとして考えだされたのがはじまりといわれている。一文字はわけぎの別称で、植えてある姿が「人」の文字に見えたとか、または、ねぎが「き」と一文字で呼ばれていた御所時代の女房言葉「一文字草」に由来する。熊本県の一文字は、白根の部分の膨らみが特徴的な名産品だ。
ぐるぐるとは、さっとゆでた一文字の白根の部分を軸に青い葉の部分をぐるぐると巻き付けたことで名付けられた。巻き付けた葉の先を指で切ると、とろりとした汁が出るので、これで巻き終わりをくっつける。こうしてひと口大にきっちり巻き付けることでザクっという食べごたえのある食感を生み、独特の香りと甘みを楽しめる。一文字だけでつくられるシンプルな料理だが、酢味噌や辛味噌を掛けるとごちそうになる。栄養豊富な一文字をたくさん食べられる。
江戸時代から栽培されている一文字の旬はもともと春だが、郷土料理として通年提供したいという需要が高まり、品種を改良するなどして栽培時期を増やしている。

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名称
一文字のぐるぐる
(ひともじ)